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『いきいき』10月号発売中
清川さんの「ロマンチック百人一首」に絵をつけました。

古典の仕事は絵で言いますと、古典派の領域です。
昔は古典派の画家は、画家のヒエラルキーの中で一番、偉い存在でした。
なぜ偉いかと言いますと、絵が上手い画家は沢山おりますが、古典派の画家は時代考証などの知識を持ち合わせております。
各時代の建物の知識や、身分別の服装も含めて、其々の時代の生活様式に詳しい。
漫画で言えば、資料を読み込み描かれた、杉浦日向子の忠臣蔵の討ち入りを描いた作品がその系譜に当たりますし、拙著『Ph4.5』や『夢枕』なども、古典派の制作方法です。

時代物の注文を頂きますが、いい加減な絵を描くのは嫌ですから写実に入りますと、時代考証が厄介で下調べが大変です。ちょっとした映画を造る位のお金が必要です。
ちょっと前の時代を描くとなると、更に難しい。服装から煙草の銘柄まで、街並みまで変わっていますし、近いものは資料として残す意識が低いですから、探すのが大変です。
絵1枚、描くの簡単でしょうと思われていることが残念です。
『いきいき』は書店で販売しておりません。手に取りたい方はここへ。
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グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ③
セインズベリー日本芸術研究所のお招きで、英国へ参りまして2日目です。
到着翌日ですから、朝の目覚めが良い事に、朝食を済ますとロンドン見物です。
出勤のロンドンっ子を観察しますと、歩きが早い。足の長さと言うこともありますが、競歩に近い速さです。
ライアン博士に問い質すと、ニューヨークっ子はもっと早いそうです。
また、自転車通勤が多いです。ビュンビュン飛ばしていて、ボケーと信号待ちなどしていますと、接触する恐れがあります。「何、突っ立っているんだよー、ボケナス。ロンドンっ子は気がみじけーんだよ」と、当然、英語でですが、怒鳴られそーです。怖。

さて今日は、1759年に造られた世界最大の植物園『キュー・ガーデンズ』を訪ねます。
ラッセル・スクエア駅からディストリクト・ライン、キュー・ガーデン駅まで、地下鉄で行きます。
前回、訪れた時に、地下鉄で世界最古のエスカレーターというのに乗りましたが、エスカレーターの早い事、早い事、ゴーゴー音を立てて動いておりました。

植物園へと続く駅前の通りです。植物園へと向かう観光客が目障りですが、静かで落ち着いた街並みが続きます。
不動産屋が有りましたので博士に覗いてもらうと、「うぁー、高い」との学士様に相応しくない声を上げておられました。
世界一物価の高い英国ですから、とーぜんでせう。中流が沈み、金持ちと貧乏人に二極化しているのが世界の動きです。

この街並みの庭に咲いていた紫陽花です。
紫陽花の花の色は土で決まると申しますが、見事なほど赤い花を咲かせておりました。
綺麗ですね。

キュー・ガーデンズに着きました。お目当ての温室です。
キャプテン・クックと世界を回り、採集してきたのですかね。
『コレクター』と言う小説を書いた英国人が居りますが、英国人は集める天才能力があるのですね。
私も虫ピンで、標本箱に収められるのでしょうか。

温室の中です。熱帯の植物が育っております。

もう1棟、サボテンを集めた温室がありまして、何でこんな形なのですかと、サボテンに聞きたい珍しいサボテンが多くありました。
温室の中に睡蓮の池があり、美しい花を咲かせておりました。
ここは、近くに住んで、春夏秋冬、訪れ、眺めたり模写する場所ではありますね。

植物園で飼われている孔雀ですが、人懐っこく、人が集まる処を歩いておりますから、私など花に見とれて危うく、孔雀君のご自慢の尾羽を踏みそうになりました。

これ可愛いですね。木に毛糸の編み物の服を着せてあります。
誰でも参加出来るようですよ。行かれたら、木陰で樹木の服を編んであげて下さい。
もしかすると樹木は、裸でいるのが恥ずかしく辛かったのかもしれません。

さて昼食ですが、ナショナル・ギャラリーの近くまで戻って来まして、地下のレストラン・パブの様な店に入りました。
2階へ上がる木製の階段がギシギシ鳴って、新宿ゴールデン街の店に居るような気分になりました。
暗いから、ライアン博士が何を運んできたのか判らずに食べておりましたが、写真を見て今、何を食べていたか判明した次第です。
この暗さであーた、スペイン系のカルメンのような女性が髪をかき上げながらじ~と見つめてきたら、馬鹿な出会いが利口に化ける可能性が大きいです。
「このステーキより、君の方がずっと美味しいと思うよ、ベイビィ」なんて、一生言わないようなセリフが飛び出してくるかもしれません。日本も、このような空間を増やせば、少子化に歯止めがかかるのではないでしょうか。ふざけた話では無く、ニューヨーク停電の時には、妊娠した女性の数が増えたのを覚えていますか。
休日ですが、皆、昼間っから酒盛りをしております。飲酒天国の英国です。

煙草、お値段が高いですが、止めておりません。
パブで吸っていたら、一本、分けて下さいとお金を出されました。それ程、高いです。
私はセインズベリー日本芸術研究所の水鳥さんの教えを守り、また中国の、酒と煙草は一人で楽しむものでは無く、周りの人達に薦めて一緒に楽しむものとの公衆道徳を守り、英国の旅を続けました。
しかし、この煙草の表記は無いですね。だったら売らなきゃ良いのにとまで、買う方に言わせるような文言です。
世界七不思議の一つです。
つづく
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グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ②
セインズベリー日本芸術研究所のご招待で、英国へ参りました。
赤いポストは、絵ハガキにもありますから、嘗ての英国領や日本などの近代化を進める国が導入して、世界中で馴染のあるポスト君になったのでしょう。

日本のポストは、赤い色が違います。朱色です。神社の鳥居や巫女の袴の色と同じです。
英国は二階建てのバスがこの色です。80年代に降り立ったヒースロー空港の入国審査カウンターの部屋まで、天井も床もこの赤色で、驚いたことがあります。
独特の赤ですね。バーミリオンで、植物系の赤です。
外国の絵の具に入っている色ですが、透明度が有り、使うのが難しい色ですから、使わない色として、記憶しております。

宿泊先は、カートライト・ガーデンに面した、1807年に建てられたホテルです。
日本人に人気だそうですが、朝食でも日本人に逢いませんでしたね。

このホテルを右に曲がると、スーパーなどが在り、その先にパブと呼んで宜しいのか、店があります。
産業革命の頃、農村部や季節労働者が都会へ集まり、労働者階級を形成しますが、この労働者階級の生活を探訪したルポルタージュがあります。その中にパブについての文章があり、彼らはここへ来て1日の疲れを取り、家路へと向かうと書かれてありましたが現在、昼間っから飲んでおりますし、女性が多いです。日本は酔っ払い天国だと言いますが、嫌々英国の呑み助も中々のものです。
英国の地ビールの種類は、半端無く多いです。何を頼んで良いのか、ライアン博士にお任せしました。
外の席で飲みますと、煙草が吸えます。禁煙のチャンスなのに煙草に火を付け、一本、二本と吸いますと、禁煙は日本へ帰ってからとの踏ん切りがつきました。

『フィッシュ&チップス』料理は、『ゴールデン・ハイドン』ではないかと日本人は思いますが、ロンドン中で最も『フィッシュ&チップス』の美味しい店がホテルから数分の距離にありました。
英国はこの赤ですね。この赤はブロンド、栗毛色に合う色です。
私もこの赤色のセーターが欲しくて、60年後半にイブ・サン・ローランの店で男物を見つけ、買いました。嬉しかったですね。
Vネックのセーターですから、下に白いシャツを着ました。髪の毛が黒いのがちょっと重いですが、パンツに濃紺、黒を穿きますと、髪の毛とのつり合いがとれますよ。

『フィッシュ&チップス』は美味しかったです。魚をフライにするシンプルな料理が不味い訳がありませんし、タルタルソースで食べられますから、後味に油臭さは残りません。
日本人も鯵のフライや鮭、海老のフライ食べておりますから、御馴染の食感です。ご飯が欲しくなりますね。
写真の上部に写っているのは、イカのフライです。これも日本人は食べますから、美味しいです。
80年代にパリの凱旋門近くの、オリンピック選手が開いている店で食べたオイスターが美味しかったです。グリーン・パーク駅近くの『グリーンズ』のオイスター、ロブスター、カニ料理も食べて見たかったですね。
食べた後は又、ホテル近くの店に入ってビールを飲みました。どの店からも、サッカー中継を見る人々の歓声が聞こえてきました。
ライアン博士のアメリカチームも健闘しておりまして、東京でお逢いする時の表情より明るいです。
ビールの酔いに眠気が心地よいです。では、寝ますかね、お休みなさい。
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グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ
セインズベリー日本芸術研究所のご招待で、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ行って参りました。

前日、羽田国際空港で夜食のピザを買い、ホテルへチェック・インです。

私事ですが、旅行しますと色々、面倒な事が起ります。
武士の魂である腰の大小は、出国時に当然、取り上げられますし、手入れの行き届いたチョンマゲも、断髪にしろと迫られ、ザンギリ頭で出国せねばならず、特に昨今は、禁煙というベルリンの壁よりも高く、万里の長城よりも長い壁に阻まれて、長ギセルなど愛用の喫煙道具を隅田川に打ち捨てて、参らねばならないことです。
サッカーのサムライジャパン、このようなハンディーを背負い、良く戦ったと思います。

翌日、ルームサービスで朝食を頼み、身支度をし、出発です。
ルームサービスにするのは、シャワーを浴びたり、髭を剃ったり、ネクタイを締めながらコーヒーを飲んだり、パンを食べる為です。
レストランで食事をしても良いのですが、身支度しながらの食事が出来ません。また、寝坊助ですから、目覚まし代わりにルームサービスを頼むわけです。

搭乗しますとすぐに、歓迎のドリンクが出て参りまして、またすぐ、食事の注文をとりに参ります。
和食を注文しますと、刺身、煮物に焼き魚に味噌汁、お香の物が出て参りました。刺身も暫くたって食べますと、戻し具合も良く、美味しく食べられました。
思えば六十年代、渡航自由化を向かえて、新宿西口の某百貨店で国際線の機内食を食べさすレストランがオープン、早速、食べに参りましたが、あの頃から比べると味、器、格段の思いが致します。

飛行機は便利だと思いますが、やはり地球は大きく広う御座います。10数時間を超えるフライトを考えますと、会社に出勤し、そのまま昼食へ出ることも夜食も取らず、座り続けて残業をしているブラック企業のサラリーマンのような状態です。
食事をし、横になってドリンクを飲みながら映画、ゲームに興じて、飽きた頃が時間にして7時間、これがベストな飛行機での旅ではないかと思っております。
このフライト時間を超えるのであれば、以前のような飲み物攻勢がありますが、昨今の燃料費のかさみなどを考えますと、航空会社も頭の痛いところでせう。
これから月へ、火星へと、仕事、物見遊山のフライト旅行は長くなります。『2001年宇宙の旅』でも『エイリアン』の貨物船でも、カプセルに入って寝ておりましたが、本社からの出向で木星へと旅立つサラリーマンにとって、これが家族との一生の別れにならなければ良いのですが・・・。

隣の大柄のイケメン英国男性がステーキを食べておりましたので、到着、2時間前の食事は、洋食を注文致しました。
何故かナイフとフォークの使い方を見ておりますと、洋食が食べたくなりますね。
見事、完食で御座います。

最後に、ANAさんにお礼を言わなければならないサプライズが御座いました。
私、何を隠そう、と言っても隠すものなど何もありませんが、世界アイス・コーヒー普及協会の名誉会長兼会員で御座います。現在、会員は私、一人です。
設立目的は、欧米にアイス・コーヒーを普及させるべく活動を続けております。
それで今回も、アイス・コーヒーをお頼みした処、客室乗務員のお美しい方が、そのお美しい顔を少し曇らせはしたものの、私の望みを叶えるべく、機内に在る食材を集め、何と魔法のようにアイス・コーヒーを作り上げたのです。ビビディ・バビディ・ブゥーです。
「私、愛を込めて御作り致しました」の言葉を添えてアイス・コーヒーを差し出された時には、あーた、もう月へ飛ぶ気持ちざーんすです。と言っても機上での事ですから、もう飛んでいますけれどもね。
ANA欧州室長殿、全てのANAにお勤めの皆様、客へのお・も・て・な・し、アッパレでした。感激しました。SACF協会として、お礼を述べさせて頂きます。
さて、出迎えのライアン博士と合流、博士の私への第一声が「お腹、空いてませんか?何か、食べますか」でした。今、食べたばかりなのにー、嗚呼・・・・。
続く
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月刊『東京人』にエッセイ寄稿。
ケンブリッジから東京へ戻って参りました。
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ行く前にアップ出来なかったニュースを上げます。
『ガロ』と『COM』、両漫画雑誌の特集です。
手塚治虫さんが『ガロ』の後を追い『COM』を発行、某大手新聞の社会面のトップに、「あなたはガロ派かCOM派か」との見出し記事が載りました。

東映動画の動画課のほゞ全員が、面白い漫画雑誌だと、『ガロ』を購入していた事を記憶しております。東映動画には藝大卒の方々が多く、先ごろ、アメリカの美術館で回顧展が開かれ話題になりました『ハイレッドセンター』の一人、高松次郎もまた、動画課に勤務していた時期が御座いますし、関東の美術大学のほゞ全校の卒業生が働いておりました。
その雑誌に私が投稿、掲載、翌月に週刊誌のグラビアに取り上げられ、つげ義春、佐々木マキ等とテレビ、雑誌、学園祭などに引っ張り出されるとは思ってもおりませんでしたし、全共闘からポスターを依頼されたり、大阪万博、大阪空港のトヨタの看板に起用されるなど、そんな仕事を数年後にするとは、考えてもみませんでした。

『ガロ』系の作家は、他の娯楽系漫画雑誌で活躍されていた作家とは、メディアの使い方、使われ方が違いますね。
私ですと画家へ、杉浦日向子だとNHKのレギュラー・コメンテーター。フランスの文学賞を受賞し、作家と役者の内田春菊。糸井重里はコピー・ライター、南伸坊ですと絵も文もたつコメンテーターですし、蛭子能収はタレントへ。みうらじゅんは仏像ブームを起こして、プロデューサーとなり、漫画の領域以外の仕事をしている場合が多いです。
この雑誌では、東映動画に居た一アニメーターの視点から、当時のメディアの交代劇などを書いております。『赤色エレジー』の主人公のような契約社員の問題など、メディアが取り上げるのは20年ほどの後になりますが、もうこの時代に始まっております。
将来、六十年代から七十年代への時代の変わり目の、労働現場の様子を知りたければ、あるいは日本、世界を考える時の教養の一助になれば、作者としてこれほどの喜びはありません。
人気の特集だそうです。手に取りたい方は下記アドレスへ。
『東京人』を発行しております都市出版の粕谷さんがお亡くなりになりました。
後年、東北への視察旅行、出版記念パーティーにお招き頂き、感謝しております。
深沢さんの著作問題など、大変な時期の中央公論を支えた方だと後日、知りました。
葬儀の日、ぎっくり腰になり、お別れの言葉を伝えられず残念です。
東北旅行での、イカ焼きと日本酒の酒宴、私の中では印象深い飲み会となっております。
ご冥福をお祈り致します。
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スペイン語版『花に棲む』発売。
大きくて、背の厚い漫画雑誌です。ちょっと日本では見当たりません。
以前、『A ha』という漫画雑誌を出しましたが、それはこの本よりも大きいカラー漫画雑誌でした。
今、思うと、凄い漫画雑誌を日本で出していたと思います。

このページは、先輩が立ち上げた製作会社で、テレビ番組の制作をしているところです。当時は劇画ブームでしたから、某テレビ局のゴールデン番組を制作しながら漫画を描いていました。忙しい毎日でした。
この辺りの事情は、もうすぐ発売になる雑誌に書きました。

カラーはジンク版で制作しました。
私位の年齢ですと、テッシュは昔、ちり紙と呼んでおりまして、その包装紙がとても綺麗でした。また、果物を輸送する木箱に、リンゴやサクランボ、イチゴなどの絵入りのラベルが貼ってあって、これも大変、綺麗でした。
戦前のビールのポスターなど、写真のような絵の様な、不思議な画像がありますが、あれもジンク版製版です。
あの当時、消えかかる印刷技法で、ジンク版職人さんと仕事がしたく、お願い致しました。

私の他にも色々、作品が載っております。
外国では、この様な本が出来るのです。
お求めは出版社ホームへ。
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美術手帖 5月号『バルテュス』特集号
東京都現代美術館で開かれております『バルテュス展』に合わせての美術手帖『バルテュス』特集号に、我が国の少女像が特集されております。

蕗谷さん、金子さんと私の少女像が載っておりますページです。
この絵は、三全さんの『萩の月』のイメージ・キャラクターとして描いたものですが、もう少し大人にしてくれとの要望で、現在の女性像に落ち着きました。
金子國義さんとは、ミニの女王・ツイッギーが来日しました時に、『装苑』で対談を致しました。日本の女性はミニを履いているのか?ありゃー、腰巻だとの発言は、前日にパリから戻られた金子画伯らしい言葉でありました。
今回、バルテュスの少女にスポットがあたっておりますが、私はアパートの窓から見たパリの路地裏の、人の居ない風景画も好きです。
これで雨が降っていたら、私はホテルに引き籠り、ルームサービスを頼んで、ベッドの上でシーツに包まり、裸で一日過ごします。

ゴールデンウイークに彼女、彼と、『バルテュス展』、観に行かれては如何でしょうか。
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英訳の作品集です。
昨年、発売になりましたが、告知する時期を逸しておりました。
収録作品は、私の作品集に収録されております『花に棲む』、発表当時、女性週刊誌『女性自身』に再録されました『赤とんぼ』に『山姥子守唄』、未完の『黄金花粉』です。
和開きで読むようになっていまして、これは日本の漫画作品を洋開きで発売したところ、外国の漫画ファンから抗議があり、日本の漫画は和開きで読むべしとなりました。コマの動きが洋開きにすると逆になり、作家の意図するドラマの流れが伝わりずらくなるからです。

何故かスタイリッシュ、クールな表紙ですね。
以前の『赤色エレジー』も独特のセンスがありましたが、今回も、中々日本人では出てこない色調です。

『花に棲む』ですが、オール・カラーの作品で、80年代にNHKでテレビ・ドラマ化されております。
発表時期を考察しますと、60年代、最後までカラー作品を撮らなかった黒澤監督が『天国と地獄』でパート・カラーの作品を発表、70年代に発表した『どですかでん』でオール・カラーの作品を発表する時期と重なります。
しかし、鈴木清順監督が多くの作品で色の実験を行っていたから、黒澤さんはやり難かったでしょう。
テレビも70年に白黒放送からカラー放送に変わります。
また、漫画界を見ますと、フランスからオール・カラーの漫画雑誌が発売されるなど、先端の漫画表現はカラー化の時代を迎えておりました。
勿論、カラー漫画は、『リトル・ニモ』の石版画を使用した贅沢な作品を始め、ベルギーの漫画家エルジェの連載漫画「タンタンの冒険」やアメリカ・マーベル社のヒーロー作品と以前からありましたが、このフランスから発売されたカラー漫画雑誌は、それまでのカラー漫画作品とは一歩も二歩も抜きん出た質感のコマ絵で構成されております。
このレベルの上がった、言葉を言い換えますとリアリズムの上がったコマ絵は、絵画の世界潮流、スーパー・リアリズム絵画の退潮時期とほぼ重なります。
日本で言いますと水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』のタイトルバックの精緻な茅葺屋根の風景画から、つげ義春の『ゲンセンカン主人』へ、10年の間を置いて発表された大友克洋の『アキラ』まで、この間に池上遼一、石井隆の作品を挟んだ10年の幅が、また日本の出版事情がオール・カラーを阻んでおりますか゛、『アキラ』は精度と密度の上がったコマ絵で展開されておりまして、当時の漫画評論家の多くが彼に、正規の美術大学でデッサン、写実を学んだのかとの質問をしておりますから、大友のコマ絵が他の作家より抜きん出た模写力があった事を裏付けるエピソードでしょう。
このリアリズムの流れを変えたのが望月峯太郎の『バタアシ金魚』のコマ絵で、劇画のコマ絵をへたうま絵と方向を転換します。
そのへたうま絵に再度、カラーリアリズムの流れを呼び戻そうとしたのが拙著『夢枕』ですが、オール・カラーの漫画作品は欧米に於いてはあたりまえ体操ですが、日本は小説と競って映画化、テレビドラマ化、グッズ化などに活路を見出しておりますから、コストが掛かるカラー作品が日本漫画の本流となることは無いでせう。
『花に棲む』は、両極性障害を病む母親と息子の日常を描いており、ある漫画家、評論家は、林静一はアメリカの作家、ロバート・クラムに近い作家であると述べておりますし、フランスの作家、ジョルジュ・バタイユにも近いとは、まだ誰も言ってはおりません。

この本は裏から外国版の体裁となっており、作品集に収めました私の文章の英訳と美術史家ライアン氏の作品解説が載っております。

『薊光』は、作品集に収めた自伝色の強いエッセイです。題名の『薊光』をどう訳すか、ライアン氏は悩んだと思います。
私の作品には『薊光』の他に詩画集の『紅犯花』や画集の『儚夢』など造語が多いのですが、我が国は中国から輸入した漢字を模して国字を生み出しておりまして、「峠」なんて上手いですよね。この血が私達の使う言葉に脈々と流れております。
ひょっとするとこれから、英語を使う事の方が多くなる私達日本人の和製英語が、世界基準の英語になるかもしれませんよ。
母と並んだ小学生の私が写っておりますが、母が見たら何て言いますか・・。
被害者意識の強い病の母ですから、「嫌だわ、こんな不美人の私を載せて、世界中の笑いものだわ」何て、言うかもしれません。

ライアン氏の作品解説です。
『山姥子守唄』の解説図版に歌麿の山姥と金太郎の絵を載せております。
歌麿は晩年、金太郎と山姥の母子像を多く描いておりますが、歌麿の心に何が去来したのでしょうか。
また、金太郎と山姥の母子像は、山に住んで居ると言うより江戸都市に住む母子像に思えます。
その根拠として、辻氏が『奇想の系譜』で取り上げた鎖鎌を持ち岩場に立つ山姥像で、がっしりと岩を掴む山姥の足の指と長く伸びた爪のリアルさが、山で暮らす山姥の生命力を垣間見た気がすると当時、この本の書評で書いた覚えがありますが、歌麿の山姥と比較しますと、歌麿の山姥は洗練されております。
都市の母子像を描いた歌麿。それは江藤淳氏が『成熟と喪失』で描いて見せた日本近代の母子像へと繋がり、私が密かに自負して描いた我が国の60年代後半の母子像から「イエスの箱舟」事件などへと広がります。20代の私に向って「若いのに良いところに目を付けていたな」と、声をかけたくなります。
手に取りたい方はこちらです。
売り切れていたらアメリカ・アマゾンで注文して下さい。
You Tubeで、手塚治虫氏や私などの日本漫画を紹介している青年が居ります。
御覧になりたい方はこちらです。
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