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横尾忠則 幻花幻想幻画譚 1974-1975

会期 09月05日(水)~10月20日(土)

会場 <ギンザ・グラフィク・ギャラリー

同時代を若者として生きた感想としても、ずば抜けた才能が横尾さんにはありました。

時代の寵児として先陣を切って若者文化を牽引していた横尾忠則はと、個展企画書にありますが、歯の浮く誉め言葉ではなく、本当の事です。

特に柴田錬三郎氏の『うろつき夜太』に付けた挿絵が凄かった。挿絵と言うと文章を読むついでに、活字を追う目の疲れを休めるような四角い枠の中におさめられ、文章の印象的なシーンを映像化する役目を負っているのが殆どだが、柴田さんと組んだ横尾さんの挿絵は違った。

一言で言えば江戸時代の黄表紙に描かれた北斎の絵を彷彿する様な、ページ全体を画布と捉えて描く挿絵は圧巻だった。このような挿絵を許した編集部も立派だが、作家、柴田さんの度量の大きさにも感心した。

あの時代は、多くの編集者も含めてアートをさり気なく実践していたのだ。戦前の挿絵画家、小村雪岱に並ぶ画家が誕生したのには驚いた。

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戦前から今までの挿絵を私が選ぶとしたら、小村雪岱に横尾忠則に朝日新聞に連載された加賀乙彦氏の『宣告』の挿絵を担当した野田弘志氏であろう。

野田氏の挿絵は、加賀氏の作品内容を伝えるという従来の挿絵の役目から自由になって、ひたすら画家の描きたいものへ拘った挿絵で、挿絵の意味が稀薄になった時代を上手くとらえて見事です。

最後に挿絵の巨匠をもう一人上げれば、時代物小説の挿絵を描いた中一弥氏ではなかろうか。と思って筆を置きたいが、もう一人、『鞍馬天狗』の伊藤彦造のペン画も凄い。

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