日本は欧米から見ると極東の島国にしか見えませんが、その島国がアジアでいち早く欧米の文明を吸収し、経済大国へのし上って行くのは理解しがたいのではないでしょうか。
それから、明治の初頭に、さほど解剖学を学んだと思えぬ職人が、生人形を制作してしまうし、また、ハイパー・リアリズム・ブームの頃に良く言われていたのが、レストランのショー・ウインドーに飾られた実物大の立体メニ―です。日本にはハイパー・リアリズムがありました。
ですから欧米美術史では解きえない美術の流れを、欧米人に判る様に日本美術を翻訳し直す美術評論家Ryan Holmberg氏なのです。
私も80年代に外国の映画祭のパーティーで、君達の国の文化を説明しろと、大御所の映画監督に迫られ、近代を説明するためには前近代の江戸時代を説明せねばならず、江戸を説明するにはその前の時代を説明しなければと、日本代表団のメンバーで一番、歳若の私に聞くのは野暮だぜと思い、口を濁しました。
我らがアート・漫画の先達、杉浦茂さんの作品です。
そして今、アジア、アフリカ、中南米と経済力が付き、マイナス金利など、欧米が経済の尺度としてきたものに揺らぎが生じておりますから、Ryan Holmberg氏のテーマは面白くなります。
横尾忠則氏の作品です。
田名網敬一氏の作品です。
佐々木マキさんの作品です。
それに私の作品です。
アート・漫画は長編が少ない。『赤色エレジー』はその実験作です。リアリズムだけで語ると面白くなくなります。
都会へ出て来た青年が非正規雇用労働者としてアニメ業界を渡り歩き、幸子と出会い、その正社員の幸子は、ベースアップ闘争の鉢巻き「団結」を自宅まで締めて帰る。非正規は今、労働人口の40%ですか?アニメ業界がいち早く、雇用の安全弁として導入した制度です。また今、労働組合が若者に注目されております。
『ART IN AMERICA』誌の昨年、発売の号になりますから、ホームは新しい号になっております。下に前号の表紙絵がありますから、そこをクリックすると前号が表示されます。
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