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桑原茂夫個人誌『月あかり』

今回の『月あかり』、井上洋介さんの特集ですね。

井上さんも若い頃の作風と今の作風とガラッと違いますし、長新太さんも30代頃で絵柄が変わりました。

先代ではピカソさんが緩い具象から抽象へと変わっていますから、画家の画風が変わることはさして驚く事では無いですが、絵を知らない人は驚かれます。

私も映像をやっていますので、プロデューサー、ディレクター目線で作品を考えますので、今までの画風と違う作品を編集者の方に見せると、驚かれたりします。

漫画ですと作品ごとにテーマや設定背景が違いますから、変えております。判って頂けると嬉しいのですが・・・。

チラシ- 1

テレビ東京の『演歌の花道』という歌番組がありますが、これが舞台美術の巨匠を起用して毎回、面白い番組を送り出しておりました。

例えば、舞台は日本海側の小さな港町という設定で、防波堤の道を何と、小林旭さんがダブルの真っ白なスーツ姿で登場します。

この絵作りに私は腹を抱えて笑います。歌謡番組と言えば中央に広い階段があり、その左右に楽団が入っているのが、年末の紅白歌合戦で皆さんご存知の、歌番組の舞台です。

それが日本海に面した小さな漁村の防波堤が舞台ですから、驚きますよ。

しかも夜で、そこへ旭さんが真っ白なダブルの舞台衣装で登場しますから、シュールですよ。夜中に漁村の防波堤を歌いながら小林旭さんが歩いていると思いますか。だから笑いがこみ上げてくるのです。

旭さんは歌いながら防波堤の細い道に入りますが、道の両脇の生活排水溝に生えている雑草まで、しっかり作り込んでいるセットで、両側には木造住宅があり、何とその二階の窓は赤く明かりが点いているのです。

これにはうーむと唸りました。脱帽です。

私も夜の電車に乗り、車窓から風景を眺めることがあります。

赤い明かりが灯る住宅を見て、あの家は何で赤い電灯を点けているのか、カーテンが赤いからか、それとも室内を灯す電球が赤いのか、住んでいるご夫婦の夜の時間を盛り上げる演出なのか、今もって判らない赤い窓明かりで、それをセットに組み込んでおります。

流石、リアリズム舞台美術の巨匠の仕事だと感心しました。

路地を抜け、広場に出ると、周りに店が並んでいて、手前の小料理屋がガラス窓になっております。そのカウンター席に歌手の日野美歌さんが一人でお酒を飲んでいるのです。

何処に、旭さんが唄いながら歩き、美歌さんが一人でお酒を飲んでいる港町がありますか、しかも夜です。

このシュールな歌番組に、プロデューサーもディレクターも確信犯で遊んでいるなと、毎回楽しみにしておりました。

小林旭さんは、ポップですよね。ボップ・アートが似合います。

桑原さん。遊んで下さい。楽しみにしております。

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