- 2015-05-20 (水) 14:03
- お知らせ
寺山さんが九條さんに宛てたラブレター集です。
まぁ現在、ラブレターなどもメールで送る時代ですから、「君待てども、まだ来ぬ宵」との流行歌を口ずさみながら、相手からの返事を待つ時間のもどかしさ、やるせなさを体験することもありません。返事が遅いと相手がキレる、怖い時代です。
この本の詩「A子よ君は」を引用しますと、
智恵子は東京に空がないという。
ほんとうの空が見たい、という。
という高村光太郎の詩が好きで暗記しているくせに、
自分では「東京にしか、ほんとうの空はない」
と思っているのだ。
寺山さんはA子を見て、そう診断しているし、その矛盾に気が付いていないA子を見て、一篇の詩を書きたいと言っている。鋭い作家の目が光ります。
吉本氏の言葉でいえば、「大衆の原像」のA子を通して日本や世界を寺山さんは見ていた事になるし、その矛盾も見ていた事になる。
九條さんと対談が決まった時、どうしようかと思った。
その対談は、九條さんの訃報で実現しなかったが、一番、対談を避けたい相手が九條さんだ。何だか照れてしまうのだ。その辺の心の揺れを榎本さんとの対談で吐露した。
八十年代に寺山さんと別れた九條さんとお会いした。
私がレビューの演出家になりたい事を知っていた九條さんは、今、熱海のホテルで公演しているレビュー・ショーが最後のレビューかも知れない。あなた、絶対に見ておきなさい。
子におつかいを言いつける母の目で、九條さんは言った。
私は、九條さんから言われたおつかいを果たしていない。
手に取りたい方はこちら。
また、笹目が「寺山修司のラブレター展」を開いております。
そちらもご覧になって下さい。
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