表紙が小村雪岱の絵になっております。山下さんの雪岱への思い入れは、素晴らしいです。
私が雪岱の作品に出合ったのは、20代の頃です。
アダチ版画研究所から、赤瀬川さんと共に呼ばれておりまして、何度か工房にお伺いしている時、工房のプロデューサーの方に「林さんは、きっと好きですよ」と小村雪岱さんの大判の画集を頂きました。
雪岱さんの作品を見ておりますと、構図の取り方が粋ですよね。こんな画家が居たのかとファンになりました。
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当時の雪岱さんの評価は、江戸期の浮世絵師『春信』に似ている、真似だと言われ、決して高い評価では有りませんでした。
確かに丸顔の女性の描き方は春信に通じておりますが、何かが違います。何が違うかと言いますと、女性の身長が春信より高くなっており、元禄期を過ぎた歌麿の大首絵へと繋がる浮世絵師の女性の描き方に近いです。
戦前の雑誌『さしえ』でも、小村雪岱の人気は群を抜いております。
歌麿の大首絵については、イギリスで何故、大首絵かについてお話しました。
NHKで先日、放送した、歌麿の絵師としての幕府との対決は見事な歌麿論になっておりました。
何故、最晩年に春画を描き、手鎖の刑になったのか、町人文化の抵抗としての画家、歌麿と捉え、骨太な画業を描き出しておりました。
雪岱さんの作品は構図が素晴らしく、こんなデザインが粋な画家は居ないと感心しました。
また西郷隆盛を描いたヘタウマ画に、ハッとします。
泉鏡花の書籍装丁画は見事です。
江戸期からの美術の流れを商業美術と山下さんは捉えておりますが、江戸期から繋がる町人文化の流れを近代も引き継いだとも言えますし、元禄を過ぎた頃から大阪から江戸へと移り、経済が衰退する江戸時代と現代の日本が重なって見えるのは私だけでしょうか。地震の問題を含めても・・・・。
素晴らしい。つげさんの作品が国宝になると山下さんは書いております。
つげさんの作品が国宝になっている時代を、生きてみたいです。
すみません、遅くなって。今日です。
animation soup 2021
アニメーション上映 + 展覧会
「おら東京さ来ただ」
日時
12月26日(日)
1回目:14:00〜
2回目:16:30〜(ゲストトークあり)
料金
1回目上映 1000円 高校生以下無料
2回目上映+アフタートーク 一般1,800円(ドリンク付)/高校生以下500円(ドリンク付)未就学児無料
会場
Space&Cafeポレポレ坐
東京都中野区東中野4‑4‑1 ポレポレ坐ビル1F
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