- 2021-12-17 (金) 12:58
- お知らせ
女性が得意とする私小説です。
男性ですと小津安二郎さんの作風に近いです。
ゆるい自然主義の描画ですね。
この作風は、小説ですと『あ・うん』や『『父の詫び状』の向田邦子さんや、漫画ですと何と言っても長谷川町子さんの『サザエさん』や近藤ようこさんの作品群やら、さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』が近いです。
男の描く作品の男性の主人公はヒーローで二枚目ですし、手塚氏が描いた『リボンの騎士』も二枚目のヒーローとして描かれていますが、女性の描く女性の主人公は二枚目と三枚目を行き来します。ヒロインよりも普通の女性です。
嘗ては少女漫画特有の顔に冷や汗や、縦線を入れて困った表情を描いおりましたが、現在は男性漫画家と同じコマ絵になっております。外国から指摘される大き目少女は、健在です。
これが大きな特徴でしょう。
ピクサーの映像作品なども、目が段々大きくなっております。
ロバート・レッド・フォード監督の、普通の人が主人公になった『普通の人々』という映画が在りました。1980年の作品で、中流階級の家庭が、嘗ての家庭を維持できなくなり、崩壊へと向かう時代の話しです。
世界経済が下向きに変わる潮目の時期で、現在に続く二極化の初期の状態でしょう。宅間が起こした池田小殺人まで後、20年です。
日本では私小説と言うジャンルがありますから、普通の人の普通の暮らしは途切れなく描かれておりましたが、あまり経済の影響が反映されません。繰り返し昭和の普通の暮らしが描かれていたのではないでしょうか。
齋藤さんがこの先どの様な作品を書かれるのか。小説の方に行ってしまわれるかも知れませんが将来が楽しみな作家です。
文化庁のマンガ部門優秀賞受賞と日本漫画家協会優秀賞を受賞しております。
読みたい方は下記アドレスへ。
青林工藝舎 アックスストア / 初期傑作短編集 ダリア/齋藤なずな (axstore.net)
- Newer: 『又吉直樹と読む林静一コレクション』
- Older: ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み
Comments:0
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://hayashi-seiichi.com/wp-trackback.php?p=13514
- Listed below are links to weblogs that reference
- 齋藤なずな著『ダリア』 from Seiichi Hayashi Art world