- 2020-12-25 (金) 11:36
- お知らせ
久しぶりに和本の様な装丁に目が留まった。秋山あゆ子さんの『こんちゅう稼業』である。
赤瀬川氏は絵を観る時に、この絵は買いたいかと考え、作品を見る事にしたと生前、語っていた。
私はアニメ出身なので、この絵は動くと面白いかと想像して作品を見てしまう。
あゆ子さんのカバーの物売りの昆虫を見ていると、ドンドン動き出し、バッタが江戸時代の街並みを売って歩く姿が頭に浮かび、絵本にしても良いなと思うと、後ろに高層ビルが立ち並ぶ長屋の一軒が目に浮かぶ。
荷を下ろし、中から走り出て来たバッタの子供を抱き上げ、お帰りなさいとお母さんバッタが割烹着の前で手を拭いて出てくる。
ナレーターは小沢昭一さんか落語家にお願いすると良いなと、想像は止まらなくなる。
それでは作品を見ようと表紙を捲ると、想像していたアニメの絵コンテの様なコマ割りと違うコマ絵の展開に本を閉じて天を仰ぎ、ジャン・アンリ・ファーブルの『昆虫記』のアングルで描くコマ絵ではないかと呟く。
多くの読者はどの様に読み始めるのか知らないが、アニメ制作を経験しているとキャラクターにフィルターがかかり、勝手に作品を紡ぎ出してしまうのだ。
バッタの物売りのキャラクターは良い。
スーパーの商品棚に並んでも、目立つ。今は、可愛いキャラ全盛の時代で、嘗ての漫画家、おおば比呂司氏が活躍した「おじさんキャラ」時代と様変わりして、サントリーの柳原さん描く『アンクルトリス』や彦根さん描く『カールおじさん』のみがおじさんキャラで頑張っている時代であるが、そろそろ可愛いキャラから、別のシンボルへと時代は動いて行くのかもしない。回る、回るよ、時代は回る・・・・。
キリギリスにスーツを着せ、手にスーツケースを持ち、休んでいる移民労働者の蟻の前を忙しそうに会社へ向かっても良いだろう。
このキャラクターは異色だから大事にしなさい。広告業界の目に留まるかもしれないし、多くの物語を生むキャラクターでもある。『アックス』の先輩作家達、広告業界で活躍しております。あゆ子さんも続いて下さい。
蛭子さんの様に大金を手にするかもしれませんよ。
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