期間 4月25日~6月14日
会場 鎌倉市川喜多映画記念館
送られて来たチラシに4月1日よりとなっておりましたが、コロナウイルスの流行により、ホームには4月25日に展覧会開催となっておりました。早々と告知してしまいました。
副題に『ATG(アート・シアター・ギルド)の挑戦』とあります。
この時代、映画界にとって、敗戦後の娯楽の王座をテレビの出現で奪われる過渡期であったと思いますし、また映画界は、減り続ける観客を前に新しい映画を模索する時代であったと思います。
そこに出現したのが、アート・シアター・ギルドであり、フランスで起こった映画の新しい波『ヌーベルバーグ』を紹介する意味も、我が国の大手映画会社では出来ない映画を製作、公開する場を作る意味があったのだろう。
このメディアの変革期に、学生運動や手塚氏の『鉄腕アトム』テレビ放映や子供漫画から『劇画』の誕生、久里洋二氏のアートアニメの登場を含めると大変、目まぐるしく変化する時代であった事が若い方にもお判りいただけるのではないかと思います。
また、写真と言えばスチール写真であった時代から、家庭でも楽しめる家族の動く記録写真とも言える小型映画、八ミリ映写機が普及したのも見逃せない時代であり、この流れが現在のコンピューター時代へと繋がり『スマホ』で撮影された極私的な出来事を『YouTube』等で皆が楽しむ時代へと繋がっております。
アート・シアター・ギルドの公開作品のポスターを概観すれば、従来の五社大手映画会社のポスターは、スターの写真を使用しておりますが、ギルドのポスターは画家やデザイナーを起用したところに特色があります。
それ以前にハリウッド映画に於いても、フランク・シナトラ主演の『黄金の腕』や『ウエスト・サイド・ストーリー』の冒頭導入部シーンなどにグラフックデザインが使用されております。
この展覧会に私の制作したポスターも展示されております
1971年製作、実相寺昭雄監督の『曼陀羅』です。展示されているのはカタログの表紙になった作品で、もう一つ描いた、田村亮さんが女性の乳首に吸い付いているポスターが、何処にも収蔵されておらず、当時、外国の映画祭でこのポスターをロビーに襖貼りで並べたとプロデューサーの葛井さんから報告を受けたことを記憶していますから、このポスターだけ人気が高く、多くの人が求めて無くなってしまったのではないかと思います。
まだこの時代、ポスターは宣伝物と見做され、現在の様にポスターを売るという事は無かったように思います。現在も駅張りの広告宣伝用は販売物とはみなしていないと思います。
映画が娯楽の王座をテレビにとって変わられる時代に、『映画とは何だったのか』と自ら問い、模索した時代の作品群です。
それ故に哲学的で、今の私達に響くものがあり、『ミーゼネレーション』時代の現在に通用する作品になっております。
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