アンガス・マクラレン著、山本規雄訳『性的不能の文化史』(作品社刊)
人生50年時代でも、谷崎先生は老人の性を描きましたが、100年時代になりますと、男女共、切実な問題が多々生まれて参ります。
女性の方は「上がっちゃったから関係ないわよ」と言う方も居られますし、「もう妊娠の心配が無いから楽しむわ」と言う方も居られます。人それぞれですが奥様、あそこのお手入れを怠ると肌艶を失うばかりか健康にも宜しくないと女性の先生が言っておられましたし、ノーベル賞作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンさんの『収容所群島』を読みますと、栄養不良になると子宮が下がり出てくると書いてあります。気を付けて下さい。
男性の場合、歳を取らなくとも不能になることがありますし、歳をとりホルモンが少なくなると不能になります。スッポンやハブ、ノコギリヤシなどの強壮剤を飲んでおられる方も多いのではありませんか。男性週刊誌は異性のヌードページが前にも増して強く支持があるそうです。
まぁ、男性は好きなのですが、どうも好き以上の切実な何かがあるようで、「俺まだ、朝に立つぜ」などと、世界各国へ製品を売りつけた敏腕営業マンのような誇らしい顔をなさる殿方は多いでしょう。
本の帯に「ヒトラーもニュートンも不能者であった」とあります。出来ない事は男にとって不名誉な事か。『性的不能の文化史』の中で筆者は、雄弁に語っております。
マクラレンさんは私より3歳上の方ですが、エリカ・ジョングの『飛ぶのが怖い』など、同年代ならではの作品が出てきて嬉しい。
エリカさんも現在、よい歳になられたからお判りだと思いますが、いきなり三人で楽しみましょうと妻に言われても、夫はうろたえるばかりです。もう少し時間をかけて、愛ある説得を試みなければいけません。男は傷つきやすい動物なのです。
しかし現在のバイ〇〇〇、24時間可能となると、売れっ子のポルノ男優しか使い道が無いと思いますが、YOU TUBEに、空気か液体を送り、傷ついた男性器を大きくする動画がありましたから、半永久的に使用可能な男性器はあるのですね。性もSFの世界に突入しているのでしょうか。
本書は、性科学の最も優れた研究書に与えられる「ボニー&ヴァーン・バロー賞」を受賞しております。御目出とう御座います。
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