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『新東宝 創造と冒険の15年間』

『来なかったのは軍艦だけ』と言われた『東宝争議』は、東映動画の時代、先輩の組合員に聞いて知っておりました。

長引く労使間の争いに俳優の大河内伝次郎が長谷川一夫や山田五十鈴、原節子、高峰秀子等と『十人の旗の会』を結成、映画製作再開へと動き出しますが、第一組合の争議は続き、会社側は組合員の大量解雇をし、争議はもつれにもつれて当時、駐留の米軍GHQを巻き込んだ、上記の『来なかったのは軍艦だけ』という大争議に発展し、会社側はやむなく別会社『新東宝』を立ち上げる事になったとは『前書き』の『新東宝の歴史』にある。

フランスでは8時間労働は後になるが、週に一日の休みが入る労働時間は、二十世紀の初めに労働組合が勝ち取っています。

東映動画に入社した私は、一ヶ月の『試雇期間』を経て、当時制作中の長編アニメ『わんぱく王子の大蛇退治』に参加しました。この作品の総監督、芹川さんは『新東宝』に居た方でしたが、東宝の労働争議の話しはしませんでしたね。

表紙-1

わんぱくはスピーディな演出で好きですし、作画監督、藝大建築科を出た森やすじさんのカチンとしたキャラクターも、モダンで私は好きでした。

森さんは『漫画少年』の表紙を描いてらして、意外とアニメと漫画の人材交流があり、試雇期間を終えて動画課へ課長と挨拶に行くと、何と子供の頃に読んでいた漫画の作者、古沢日出夫さんが原画として働いていたのには驚きました。

漫画だけではありません。赤瀬川さん達の『ハイ・レッド・センター』のメンバーの一人、高松次郎さんも東映動画のアニメーターでしたし、今、NHK朝ドラの主人公のモデル奥山さんの旦那さんは、東映を辞して任天堂に入り、『スーパー・マリオ』の動きを監修した方です。

それに子供の頃に住んでいた隣の家の少女が、何と漫画界の巨匠の奥さんですから、まったく世の中は狭いです。

あの頃の漫画家、手塚治虫を始めとして多くはベレー帽を被っていますね。古沢日出夫さんもベレー帽を被っておりましたし、その後、契約社員の班を持つことになり、「あなたの班で働きたい」と自分の貸本時代に描いた少女漫画やサスペンス漫画などを私の動画机の上に積み上げた貸本漫画家も、ベレー帽を被っていました。手塚さんがベレー帽を被っていたので、漫画家の間で流行ったのですかね。

画家もベレー帽を被っていた人が居た様に思います。

『新東宝』の年代別作品リストを見ると、実写の中にアニメが使われている作品があります。タランティーノ監督の『キル・ビル』の先を行く作品か、見てみたいです。

また、ロシアのアニメ短編を輸入し、上映していたのですね。令和生まれの私には、あまりにも幼い頃の話で見る機会が無く残念です。

手に取りたい方はこちらです。

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