- 2018-06-01 (金) 12:21
- お知らせ
巻頭に、先日亡くなった映画監督高畑勲さんが、この小冊子のファンであったと書かれております。この文の下に、井上洋介さんの挿絵が載っておりますが、5年前のキューバ・メキシコ個展で、井上さんの映像作品を上映しました。
この上映作品にはオノ・ヨーコさんの歌が使われておりますが、そのヨーコさんの歌に人気が集まり、会場が盛り上がりました。
「オトーサン」の章では、敗戦後、軍務を解かれ自宅へ戻った「オトーサン」が真っ先に向かったのが日劇ミュージック・ホールだったと書かれており、男だと理解出来る話です。
以前、私が日劇ミュージック・ホールでストリップを鑑賞したことはホームで書きましたが、その話を再度、書きますと、この日は前日からの徹夜で眠くて仕方がない私を、ミュージック・ホールが取り壊しになるから無くなる前に見ておこうと、銀座での仕事の打ち合わせの帰りに、友人に強引に誘われて入りましたが、ホールの中は薄暗く、絶好の仮眠室となりそうな雰囲気で、踊り子さんが出てくると一段と場内が暗くなり、私は深い睡魔に襲われ寝込んでしまいました。
まぁ、音楽とライトが当たり、どんな男性でも私の体と踊りを見れば眠気も吹っ飛び、目が釘付けになると舞台へ上がったら、一番前の席で背もたれに体を預け、口を開けた顔を天井に向け、グーグーと寝込んでいる20歳の青年が居るとは、踊子さんも驚いたでしょう。
暫くダンサーは、踊りながら様子を見ていたのでしょうが、踊子さんにもプライドと豊満なボディがありますから、ぐっすり寝ている私の椅子に乗り、寝ている私の顔にスパンコールの下腹部を押し当て、私を眠りから目覚めさせようと音楽に合わせて上下左右に腰を振ります。
スパンコールの衣装で顔を擦られると痛いので眠りから覚めますと、化粧や香水の匂いが強烈に鼻をくすぐり、踊子さんが私の頭を押さえ腰を押し当てて激しく踊っているのが判りました。
場内は爆笑に包まれ、今度、私が踊っている時に寝たら承知しないからと睨みつけ、舞台の上へと帰って行きましたが、踊りと音楽が止み場内が静かになると再び私は、深い眠りへと落ちて行き、次の踊子さんにも、その次の踊り子さんにも頭を押さえられスパンコールの衣装を押し付けられ、激しく腰を動かし目を覚まされました。
どうやら最初の踊り子さんが楽屋へ戻り「頭にきた、私の踊りとボディを見ずに、寝ているバカなガキが居るんだよ。しかも一番前の席で」と言うような事を言ったのではないかと推測します。
それを聞いた出番待ちの踊子さんが「酷いわ。姉さんの美ボディは女の私でさえムラムラするのに。そのガキ、男かよ。生意気ね、姉さんを困らせるなんて。寝たいなら家で寝ればいいのよ。まったく近頃のガキは・・、長髪にして女みたいだし、女の裸を見ても目が覚めないなんて、日本の未来は暗いね。少子化になるよ。」「よーし、姉さんの仇よ。生意気なガキをとっちめてやりましょう。エイ、エイ、オー」と言う事になり、出て来る踊り子さん達は集中して私を攻撃するようになったのではないかと思います。
私は、顔はヒリヒリするわ、起こされてもすぐに睡魔が襲ってくるわで、困り果てていますが、場内からは「若いの、その席、俺に譲れや」との掛け声も飛び、その度に客席から大爆笑が起こり、この日の日劇ミュージック・ホールは大うけでしたから、私が寝込んだのも、結果を考えれば良かったのかもしれません。
また、海千山千の場数を踏んで来た踊り子さんですから、これは今回の出し物としてお客を楽しませることが出来ると、このような演出を考えたとも思えます。
文豪、永井荷風さんも晩年、楽屋へ入り浸るほどの日劇ミュージック・ホール好きでしたが、私には上記の様な思い出しかありません。
近頃、高学歴の人が切れて大声で怒るのが流行りだそうですが、東大卒の桑原さんは怒ったとこを見たことがありません。切れる人と切れない人の違いは何なのでしょう。イライラなど神経が高ぶる人は、ビタミンが足りないとの医者の発言がありましたが・・・。
詳しくは公式ホームまで。
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