トーハン恒例のアンケート特集です。今回は「惚れた作品二つ」です。
私は内田百閒の『蜻蛉玉』と太宰治の『御伽草子』を挙げました。
蜻蛉玉は何でも曲がった事の嫌いな男の話です。潔癖症とは違いますが、机の上の物でも真っ直ぐ揃っていないとイライラして気持ちが悪くなる人です。
居そうですが、私はまだ、出会ったことがありません。私のようなズボラな人間には、こういう人が一緒にいてくれた方が部屋が片付いて良いのですが、よく考えると隣にいると恐い気もしてきます。
財布の中のお札も、一万円から五千円、千円札と並んで入っていなければ気持ちが悪くなるのですが、これは私もそうですね。金額の大きい札から並べてあります。
小銭の拘りの方が強く、財布にコインが一緒くたに入っている方を見かけますが、お釣りを出すのが大変だろうと見ていて思います。特に一円玉がねー。
お伽草子は現在でも、桃太郎や金太郎が出てくるコマーシャルで若い方でもご存知でしょう。それと同じで、太宰の話芸の面白さで昔話に現代のリアリティを付加したお伽噺にしております。
『かちかち山』の女性ウサギの意地悪さと、惚れた弱みの狸さんのSM劇は中々です。
浦島太郎が長男だったとは、この『お伽草子』で知りました。
手に取りたい方はこちらです。
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