とうとう出ましたね。
戦後から現在までの美術史を編むという全集物は、インターネットにメディアの王座を明け渡したといっても、出版界、活字、印刷メディアが作り上げた知のオブジェの最高峰なのである。
梱包芸術があるが、それさえも全集という形をとり梱包してしまう全集本は、メタ立体藝術作品なのであり、これを超えるインターネット作品は見当たらないのである。
文芸評論家、吉本隆明氏が70年代に『戦後詩史論』を出し、その中で、戦後の詩について語る事は苦渋の作業である、と言うような事が書かれてあったが、美術も同じで、未踏の戦後から現在までの美術を整理することは、吉本氏と同じく脂汗の滲む作業であっただろうと推察する。
その散らかった、整頓の下手な戦後美術に、大きく素描を試みた勇気と、戦後美術を語る時の礎を築いた功績は大きいと思う。
収録作家203作家です。
赤瀬川さんの千円札をめぐる表現ですね。現在、インターネットには仮想通貨ビット・コインが出現しましたし、イスラム国は新しい貨幣を作り出しております。お金とは何か、古くて新しい問いでもあります。
漫画では、つげさんの『ねじ式』が収録されております。
アート・フィルムですと画家ダリと映像作家ブニュエルが手を組んだ、『アンダルシアの犬』に匹敵するのではと思いますが・・・。
大友克洋さんの『AKIRA』も収録されております。
大友、江口さんと飲んだ時に聞いた、大友さんの少女漫画論は面白いし、映像を考える上で、もう一つの視座を与えてくれる。
それに私も、収録されました。
手に取りたい方はこちら。
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