日中文化交流協会誌に、上海美術映画製作所、製作の『牧笛』との出会いから、東京での上映会までを書きました。
共産圏の映画は中々、見る機会が無い。
アニメ好きの手塚治虫氏など、ロシア・アニメ作品『雪の女王』を見たくて、今はおこなわれていないが、夏休みの小学校の校庭で開かれる上映会に『雪の女王』がかかると聞くと、仕事場を抜け出し、今日は練馬、明日は荻窪の小学校へと、駆けつけたと聞きます。
青味が赤に転ぶ、アグファ・カラーの渋い色調の画面を堪能したに違いありません。
中国の水墨画アニメ『牧笛』も、『雪の女王』と並んで、長らく、まだ見ぬ幻の名作と噂されていた作品です。
七十年代後半に、文化交流団に加わり、特別機で中国を訪れ、『牧笛』を見ることが出来たのは幸運であったと思いますし、団長の手塚さんも、満足したと思います。
それから、まだ全員、人民服で、タラップから出入国手続きの建物まで、人垣で道を造り、熱烈歓迎の手拍子で迎えられたことや、無灯火で車道一杯に広がって帰宅する自転車通勤の人々の群れなど、今の中国からは想像がつかない光景に息を呑みました。
撮影所長、監督等、日本へ招いての上映会、その後の食事会の道すがら、目に入る日本女性の半裸の扇情的な看板に、目を覆う上海美術映画製作所の方々。
何もかも、新鮮な驚きでした。
中国との文化交流、現在も途絶えてはおりません。
コンピュータの無い時代、濃淡のある墨絵をどう動かしたかは、またの機会に。
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